建設キャリアアップシステムとは?技能者・事業者におけるメリットや料金についても解説!

2019年にスタートした建設キャリアアップシステムには、建設業に従事する技能者と事業者にとって多くのメリットがあります。
優秀な技能者の確保から、キャリアアップの推進といったことが期待される中、建設キャリアアップシステムが創設された背景を振り返ります。
また、利用についてや申請手順、必要な書類や費用についても紹介します。

建設キャリアアップシステムとは

建設キャリアアップシステムとは、「Construction Career Up System」の各単語の頭文字をとってCCUSと表され、建設業における技能者の就労履歴保有資格等の情報を管理・蓄積するシステムです。
建設キャリアアップシステムにより、技能者に対して適正な評価を可能にし、賃金などの処遇改善を計ります。
このシステムは国土交通省が推進しており、振興基金や関係団体が運営方針を決定しています。
現在、登録した技能者に個別のIDが付与されたICカード(キャリアカード)が配布され、現場入場時に情報が蓄積されるようになっています。

建設キャリアアップシステムの実施に至った背景

国内全体の就業人口の減少と共に建設業では高齢化人材不足という問題を抱えています。
若年層の入職も多いとは言えず、理由として技能者のスキルに対して適正な賃金を支払われない、
現場作業における事故の危険性社会保険の加入の問題
などがあります。
そうした背景の中、悪いイメージを払拭し、スキルのある優秀な人材や若年層の入職を確保するために建設キャリアアップシステムが創られました。

2015年8月から「建設キャリアアップシステムの構築に向けた官民コンソーシアム」が始まり、その2年後に「建設キャリアアップシステム運営協議会」により運用方針が決定しました。
その結果、(一財)建設業振興基金がシステム開発と運営を進めることになりました。
建設キャリアアップシステムは、現場の安全管理や効率的な人材配置を可能にするため、引き続き事業者と技能者の登録者数の増加を国土交通省が促しています。

建設キャリアアップシステムの目的とは

建設業における事業者や技能者にとって建設キャリアアップシステムはどういった目的があるのかについてそれぞれ紹介します。

事業者に対する目的

事業者は建設キャリアアップシステムを導入することで、技能者情報の把握と管理、そして人材確保がしやすくなります。
また、他の目的として専用の工事者の確保技能者の施工能力の明確化も挙げられます。
例えば、技能者情報を確認することで、優秀な技能者の判別を踏まえて業務の単価も検討できます。
これまで技能者の労務単価は人工でしか評価できませんでしたが、建設キャリアアップシステムにより、技能者の現場経歴や資格情報、建設業に関わる講習の受講履歴を事業者が把握することができるため、人工以外での労務単価の検討が可能になります。

技能者に対する目的

これまで技能者は、就業の経歴やスキルは可視化されておらず、客観的な評価を受けることがありませんでした。
建設キャリアアップシステムにより、技能者の情報を可視化するためのキャリアカードを発行することで、技能者がスキルに対して適正な処遇を受らけれるようになります。
また、技能者自身が今後のキャリアパスを明確にすることで、建設業に従事する上でのモチベーション維持に繋がります。

建設キャリアアップシステムのメリット

事業者と技能者が建設キャリアアップシステムに登録すると、どのようなメリットがあるのかを紹介します。

事業者のメリット

事業者側のメリットは、技能者の就業履歴や技能レベルが確認できるだけでなく、情報をオンライン上で扱うことで書類整理が簡易になることが挙げられます。
その結果、事務作業が削減され、人件費削減業務効率化につながります。
また、事業者は現場にカードリーダーを設置し、技能者が入場時にキャリアカードをかざすことで入場管理や稼働状況を可視化できるようになり、蓄積されたデータは労働環境改善に向けた取り組みなどに利用できます。

他にも、建設キャリアアップシステムへの登録は、公共工事の入札において加点対象になります。

技能者のメリット

キャリアカードの発行により技能者の資格情報やそれまでの就業履歴が証明できるようになります。
そのため、実務経験や技術力を踏まえた上で、各現場や事業者から適正な評価が受けられるようになることが技能者のメリットです。
また、現場でカードリーダーにタッチをすることで310円の建退共掛金の積み立てが可能であり、この支払は元請が一括して支払うことになっています。

建設キャリアアップシステムの利用手順

建設キャリアアップシステムの登録から利用手順までを解説します。
事業者と技能者で異なる点もあるため確認しておきましょう。

事業者の登録と利用手順について

事業者は商号や所在地等の会社の基本情報建設業許可取得の有無社会保険加入状況についての情報を登録します。
また各現場ごとの工事内容を登録することで、技能者情報との連携をとります。
その上で各現場に対して施工体制や技能者情報を登録し、技能者が現場入場時にキャリアカードをカードリーダーに読み込ませます。
これにより、技能者が現場に入場した記録が可能になります。


引用)第1回説明会 配付資料(一式)建設産業・不動産業:建設キャリアアップシステム – 国土交通省

技能者の登録と利用手順について

技能者は年齢などの本人情報保有資格社会保険加入状況を登録します。
また、登録基幹技能者講習の受講や職長などの経験年数を登録することで技能者レベルの判定を申し込むことができます。
技能者レベルの判定は1~2週間ほどかかり、その後1ヶ月程度で郵送されます。
レベル判定システムの申請手数料が3,000円、キャリアアップカードの更新手数料(色の変更)が1,000円です。
キャリアアップカードの有効期限は10 年であり、有効期限はカードに記載されています。

技能者レベルの評価

保有資格や就業日数といった情報を元に技能者レベルが判定されます。
技能者レベルについて例を挙げると、「橋梁」の職種の場合、1級土木施工管理技士などの資格を保有し、就業日数10年(2150日)と職長経験3年(645日)以上あれば「レベル4」と判定されます。
35種類の職種それぞれに能力評価があり、以下の4つのレベルに区分されます。

レベル1:ホワイト(初級技能者)
レベル2:ブルー(中堅技能者)
レベル3:シルバー(職長)
レベル4:ゴールド(高度なマネジメント能力を有する者)


引用)建設市場整備:建設技能者の能力評価制度について – 国土交通省

建設キャリアアップシステムの申請方法及び必要書類

建設キャリアアップシステムに申請するにあたり、事業者と技能者で必要となる書類、申請方法、申請費用などは異なります。
以下にまとめましたのでご参考にしてください。

事業者の必要書類や費用について

事業者が建設キャリアアップシステムに登録するにあたり、建設業許可や加入社会保険等の証明書類が必要になります。
登録申請書またはWEBサイトで必要事項を記入の上、以下の費用を納める必要があります。

現場利用料10円/回

事業登録料 下表参照
管理者ID利用料 11,400円/個

事業者登録料は下表を参考にしてください。

資本金 事業者登録料・更新料
一人親方 0円
一人親方以外の個人事業主 6,000円
500万円未満 6,000円
500万円以上1,000万円未満 12,000円
1,000万円以上2,000万円未満 24,000円
2,000万円以上5,000万円未満 48,000円
5,000万円以上1億円未満 60,000円
1億円以上3億円未満 120,000円
3億円以上10億円未満 240,000円
10億円以上50億円未満 480,000円
50億円以上100億円未満 600,000円
100億円以上500億円未満 1,200,000円
500億円以上 2,400,000円

※5年更新(消費税含む)

技能者の必要書類や費用について

技能者は本人確認書類やキャリアアップカード用の顔写真が必要です。
また、社会保険に加入している場合は健康保険証登録申請書、資格取得の証明には登録基幹技能者証明書保有資格証明書類を用意しましょう。
書類を準備し、登録申請書またはWEBサイトで必要事項を記入して申し込みをします。

2021年4月から技能者は登録内容を簡略化しても登録ができるようになりました。
簡略型の登録費用は2,500円となり、技能者レベルの判定の申し込みはできません。
詳細型は保有資格情報の登録や確認書類を提出することで、技能者レベルの判定の申込みができます。
登録費用は4,900円です。

簡略型で登録後、詳細型に変更する際には差額である2,400円を支払う必要があります。
また、紛失の際には再発行料として1,000円かかります。

まとめ

建設キャリアアップシステムは事業者・技能者の登録と活用を国土交通省が推進しています。
そのため、WEBサイトの使いやすさやキャリアカードの登録内容の改善を随時進めており、登録時におけるマニュアルも必要に応じて更新しています。
建設キャリアアップシステムの普及は、建設業に従事する技能者や入職者の増加に繋がる可能性があり、今後の動向にも注目です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です